第6章 お互いのこと

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「私もスポーツができたら…あ、ごめんなさい。」 唯は、グッと口を閉じた。 「無理しなくていいよ。それが唯の本音だろ?」 悠の優しい眼差しに、唯は泣きそうになる。 悠は、唯の肩を抱き寄せた。 「大丈夫。唯の代わりに、俺が唯を俺の大会にいつか連れて行ってやるよ!迫力が凄くてビックリするぞ?」 「うん!楽しみにしてる!早く見たいなぁ。」 唯の目は、キラキラ輝いていた。 「唯って前から思ってたんだけど、いろんな人の唯一無二の存在になるんだろうなぁって感じがするよ。」 「ほんと?実は字もそうで、両親もね、私が心臓に病を抱えてるってわかった時、私達の唯一無二の存在だって意味で、唯って付けたんだって。」 唯一無二の存在…そうだよな。初めて出来た子が、重い心臓病だって知ったら、大事な宝物になるよな…と悠は思った。 「私、ユウってとって名前素敵だと思うの!覚えやすいし。どういう字書くの?」 「悠然の悠だよ。ゆったり、おおらかな人になって欲しい。大自然の中でのびのびと自由に生きて欲しいって意味が込められてるらしいんだ。」 「凄いいい名前!てか、悠くんのイメージにピッタリね。」 唯の言葉に、思わず照れる悠。     
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