第2章 必死なリハビリ~冬は必ず春となる

1/4
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ

第2章 必死なリハビリ~冬は必ず春となる

朝、目が覚めた。 僕は、昨日のことを思い返していた。 「唯…可愛かったなぁ。」 あ、僕はもう自分の気持ちに気付いてしまった。 僕は彼女を好きになってしまったのか? いやいや、でもまだ僕は彼女のことをまだ何もしらないじゃないか。重い心臓病を患ってること以外は…。必死で自分の気持ちを抑えようとしているような、そんな感覚だった。 「悠く~ん、朝食の時間ですよ。」 看護婦がやって来た。 「わぁ!ビックリした!驚かさないでよ。」 「何もビックリさせてないじゃない。ただ、朝食を持ってきただけでしょ。それに、なんか顔が赤いわね。熱でもあるの?」 「何もねーよ。大丈夫。あぁ、お腹空いた。」 僕は、必死で平静を保とうとしていた。 「本当に大丈夫?なら良いけど。はい、どうぞ召し上がれ。あと、先生からだけど、今日からリハビリを開始するそうだから、その時また迎えに来るわね。頑張るのよ。」 「あ、そうなんだ。わかりました。うん、頑張るよ!」 リハビリかぁ。とうとう、そこまでやって来たんだ。意識不明で運ばれて来て、入院してから長かった。一時は、生命の危機さえあった。でも、また滑りたい!その一心で、ベッドの上で願っていた。家族も、友達も励ましてくれた。その期待にも応えたいと思った。 そう思ったら、今日の朝食は、一段と美味しく思えた。 1時間程して、主治医の先生がやってきた。 「やぁ、悠くん、おはよう。今日から、リハビリを始めるよ。また、君の大好きなスノーボードをやるためさ。でも、ちょっと辛いリハビリになるかもしれないね。一緒に頑張って行こうね。」 「はい。俺、また滑りたい!頑張ります!」 「そうだよね、一緒に頑張って行こうね。リハビリの担当の先生を紹介するね。山本先生だ。」 「山本です。悠くん、長い道のりになるかもしれないけど、一緒に頑張って行こうね。」 目が少し垂れた、笑顔の優しい先生だった。実は、ちょっと不安だった気持ちが、少し和らいだ気がした。優しそうな先生。 「はい、頑張ります!宜しくお願いします。」 そして、リハビリステーションへ移動した。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!