夜歩く

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 僕は夜道を歩いていた。  海から湿った風が吹いてくる。街灯が少なく、ほとんど真っ暗だった。海岸の突き当りから、山側へと続く道に入る。爪先上がりの坂を黙々と進んだ。  胸が苦しかった。  ここ四日ほどずっと調子が悪く、寝たり起きたりを繰り返していた。そのせいで、すぐに息が切れる。妙に神経質になっているせいか、すれ違う人が皆、僕のことを笑っているような気がした。誰かに尾行されているような気もする。  部屋で休んでいたかった。  だが、僕は、どうしても彼女に会わなければならなかった。
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