第三章 少年期【下】

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 翌日の朝。僕たちは街に行くところだった。  家を出て遠くに行くのは初めてだ。何だか体がざわついている。ムズムズすると言うか、何と言うか……よくわからない気持ちが溢れてくる。  綺麗な服を着て、僕の準備は終わった。後はお母さんの準備を待つだけなのだが、中々終わらない。何をしているのかと聞いても曖昧な返事が返って来るだけ。部屋にも入れてもらえない。  部屋の前に座り込んで、お母さんが出てくるのを待つ。 「おまたせー」  やっと準備が整ったようだ。  扉が開かれて出てきたお母さんは…… 「……どちら様ですか?」  お母さんのようだったけど、お母さんじゃなかった。髪はお母さんだけど、顔がちょっと違う。いつの間に他人と入れ替わったのだろうか。これも手品の一種か? 「いやいやいや。お母さんですけど。ノアのお母さんですけど?」  声も似ている。でも、騙されないぞ。これはお母さんを騙る偽物だ。 「いやいやいや。何で構えてるの? なに、私と戦う気? せっかく化粧したのに、台無しになるじゃないか」 「……化粧?」     
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