第四章 青年期【上】

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「ノーア。お風呂、沸いたよ」  母さんがお風呂を沸かしたことを言いに外まで出てきた。 「一緒に入る?」 「それはもう卒業しました。それに、こんなに大きくなったんですから、一緒に入っても苦しいだけですよ」 「息子が一緒なら私は何処でも構わない!」  胸を張って言う事じゃないだろうに……  適当にかわして一人でお風呂に入る。  このお風呂場を窮屈に感じるようになったのはいつからだろうか。もうそんな記憶がない。いつも通りに過ごしているから刺激が無くて、少しだけ退屈だ。  お湯の温かさを全身で感じながらしばらくボーっとする。この時間だけは何も考えずにいられるのがまた良い。  お風呂から上がり、母さんのお古である寝巻に着替える。 「うーん。流石に私のお古を着ているのもあれだな……」 「僕は全然構わないですけど」 「いや、私も全然構わないんだけどさ。でも、もう立派な男の子だよ? 国によってはもう立派な大人だよ? いつまでも母親のお古を着ているのもどうかと思うわ」  十八歳はもう大人の仲間入りなのか? そこを詳しく教えてほしい。 「……よし! 明日、街に行こう!」  また急な話だ。     
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