第四章 青年期【上】

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 そして、待つこと一分弱。ミナさんは戻って来た。 「こんな服はどうかしら?」  ミナさんが持って来たのは黒いジャケットだった。  ジャケットか。赤い色の奴は持っているけど、もう入らないし……何よりミナさんが探してきた奴だから邪険に扱うのも……  勧められたので、一応試着をして見る。  似合って……いるのかな? 「ノアは背が高いから何でも似合うと思うよ」 「背が高いと何でも似合うんですか?」 「そうよ。背が高い人は恵まれているの。まあ、サイズが合わないことはあるけど、背が高いと、着ている服がカッコよく見えるからね。どう? これ、買う?」  値段を見てみる。  ちょうどいい価格だったので、これを候補に入れておこう。 「他に欲しい服は?」 「そうですね……下も欲しいです。あと、寝巻用の服も何着か」 「結構沢山買うんだね。いいよ、探してきてあげる」  またもやミナさんはどこかに行ってしまった。  しかし、本当に偶然だ。まさかまたミナさんと出会えるなんて。  これは奇跡なのか、それとも偶然なのか。神様の悪戯なのか、考えさせられる場面だ。  でも、嬉しい。僕の知人と言うのは本当に少ないから、知り合いに会えると言うのは嬉しい。     
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