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しばらく待っていると、大量の服を持ってきたミナさんがやって来た。その後ろには母さんが。
「……何で母さんも?」
「いや~、偶然会っちゃったものだから。私の分の服はゲットできたし、ノアの方はどうかなと思ったら、ここでミナちゃんが登場してきたもんだから。ま、偶然だよ」
偶然だろうけど、本当に偶然なんだろうか。
三年ぶりに会った、ほんの少ししか会話していない少女の顔を覚えているのだろうか。……母さんの頭なら問題ないかもしれないけど。
「私はお邪魔かな?」
「何でですか?」
「いや、若い二人、若い男女、そして三年ぶりの再会なんてシチュエーション、逃す手は無いと思うよ。……私もまだまだだから!」
シチュエーション? まだまだ? 何を言っているのかさっぱりわからない。不思議な人だな。
「ま、後はお二人に任せるよ。ノア、これ渡しておくよ」
母さんは僕に財布を渡してきた。
「え、でも……」
「私は万が一に備えて財布を二つ持っている。だから心配することはないよ。それじゃあね。ちゃんと帰って来るんだよ」
嬉しそうな顔……と言うよりニヤついた顔をして母さんはこの場から去っていった。
残された僕たちはただ茫然としていた。
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