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■ノア■
気が付けば、僕たちは街の中にいた。
いつものように、街を歩く人たち。
いつものように、店は営業している。
あの出来事が全て夢のように思えるほどに、いつも通りだった。
でも、僕ははっきりと憶えている。あの言葉を、あの声を、あの優しさを。
そのことを思い出すだけで、また涙があふれてくる。
母さんは死んだ。死んでしまった。二度と逢えなくなったのだ。
僕は人目もはばからずに大声で叫んだ。
母さんのことを、母さんの名前を。
大切な、大好きだったあの人の記憶を。
全てを出し切るかのように、声が枯れるまで、声が出なくなるまで叫び続けた。
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