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指定された場所にやって来たはいいが、誰もいない。隠れているのだろうか。
「おい!」
声を出して呼んでみる。
「息子を返してもらいに来たぞ!」
反応はない。場所を間違えたのか……それとも……
考え事をしていると、後ろから鋭い痛みが走った。それは肉を裂くような痛みだった。
この痛みが意味するのは……
「バーカ。背中ががら空きだぜ、オバサン」
私は刃物か何かで刺されたようだ。鋭い痛みで声が出せない。
その瞬間、ほんの数秒の間にも刃は私の肉を裂いていく。
「見たところ、金は持ってきてねえようだし、あんたの体で遊ぶとするわ」
刃物が私の背中から引き抜かれる。それと同時に数人の男たちが木の影から姿を現した。
その男の一人の手にはノアの体が……ボロボロになったノアの姿があった。
「ダメなお母さんだな。息子を家に一人にするなんてよ。だから俺たちのような輩に目を付けられるんだぜ、覚えておけよ。まあ、もう遅いけどな」
下品な笑い声が聞こえてくる。本当に、本当に不愉快な笑い方だ。気に入らない。
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