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「なあ、私をいくらでも嬲っていいから息子を返してくれないか? たった一人の息子なんだ。頼む」
交渉のような話を持ち掛ける。ノアさえ返してくれれば私は抵抗しない。遠回しにそう言った。
だけど、男たちの要求は私の望み通りのものじゃなかったようだ。話を聞いてもらえず、私の顔をハンマーで殴って来た。
骨が砕ける音が聞こえる。世界が回るような感覚に襲われる。
でも、それでも死ねない。死ぬことが出来ないのだ。
倒れない私を何度も何度もハンマーで殴って来る。腕、肩、足、腹。殴る場所がないぐらい殴られた。物凄く痛い。
足をハンマーで殴られたので足の骨が折れたようだ。立っていられずに、膝をついた。
「……なあ、何が目的なんだ……? 金か? それとも私の体か……?」
血を流しながら質問をする。
「こりゃ驚いた。まさか痛みを感じない体とはな。それだけ殴られても死なないってのも難儀な話だな」
「ああ、そうだよ。だからさ、息子を返してくれ。それだけだ、それだけなんだ……」
ノアは意識を失っているのか、反応がない。だけど、今はその方がありがたかった。私の姿をノアに見せたくない。
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