234人が本棚に入れています
本棚に追加
/225ページ
「まあまあ、そんな暗い顔しないの。ノアにプレゼントがあるよ」
「プレゼント?」
お母さんはまるで隠していたかのように、台所の下の影からガサガサと袋の音を立てて、その中身を僕に見せた。
袋の中に入っていたプレゼントと言うのは、新しい靴だった。ピカピカの靴だった。
「いつまでも私のお古じゃ可哀そうだからね。街に行ったついでに買ってきました! 似合うといいけど」
「似合わなくても履きます! いや、履かせてください!」
「おおっ!? 凄い迫力……! ノアも成長した証拠だねぇ……」
お母さんはわざとらしそうに泣いたふりをしている。出てもいない涙を拭う仕草をして、感動しているような表現をしている。
「じゃあ、はい。ノアの新しい靴!」
嬉しそうに僕に新しい靴を渡してくれた。サイズ合うかな……
「サイズのことなら気にしない。私が調べておいたから」
……いつ調べたのかは聞かないでおこう。お母さんの名誉の為でもあるし、何よりそんなことを聞くのは無粋だ。せっかく僕の為に買ってきてくれたのだ。素直に喜ばなくては。
「履いて良いですか!?」
「うん、いいよ。お母さんに履いた姿を見せて」
許可をもらったので、急いで古い靴から新しい靴に履き替える。
最初のコメントを投稿しよう!