第一章 少年期【上】

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「まあまあ、そんな暗い顔しないの。ノアにプレゼントがあるよ」 「プレゼント?」  お母さんはまるで隠していたかのように、台所の下の影からガサガサと袋の音を立てて、その中身を僕に見せた。  袋の中に入っていたプレゼントと言うのは、新しい靴だった。ピカピカの靴だった。 「いつまでも私のお古じゃ可哀そうだからね。街に行ったついでに買ってきました! 似合うといいけど」 「似合わなくても履きます! いや、履かせてください!」 「おおっ!? 凄い迫力……! ノアも成長した証拠だねぇ……」  お母さんはわざとらしそうに泣いたふりをしている。出てもいない涙を拭う仕草をして、感動しているような表現をしている。 「じゃあ、はい。ノアの新しい靴!」  嬉しそうに僕に新しい靴を渡してくれた。サイズ合うかな…… 「サイズのことなら気にしない。私が調べておいたから」  ……いつ調べたのかは聞かないでおこう。お母さんの名誉の為でもあるし、何よりそんなことを聞くのは無粋だ。せっかく僕の為に買ってきてくれたのだ。素直に喜ばなくては。 「履いて良いですか!?」 「うん、いいよ。お母さんに履いた姿を見せて」  許可をもらったので、急いで古い靴から新しい靴に履き替える。     
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