第二章 少年期【中】

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「さあ、並べ終えたね。じゃあ、早速実践だ。チェスは勝負を決める前に、“チェックメイト”と言うんだ。これは王様……キングが完全に逃げ場を失ったことを意味する。プレイヤーはチャックメイトを目指して駒を動かし、キングを追い詰める。簡単でしょ? 専攻は私で、この駒をこう動かす」  お母さんが動かしたのは前に出ている駒。それを一つだけ動かす。  僕の番が回って来た。どの駒をどう動かしたらいいのかわからないので、お母さんと同じように、同じ駒を同じように動かす。 「この駒はポーンと言ってね。後退が出来ない、前進しか出来ない駒なんだ。だけど、前に駒があっても取れない。斜め前しか取れない駒だけど、使い方によってはこの駒は勝敗に大きく変わる。動かす場所も大事だよ」  お母さんが次々とポーンと言った駒を動かし、僕も同じ様に動かす。 「では次はナイトだ。文字通り、騎士の駒。この駒はこうやって動かす」  ナイトと呼ばれた駒はポーンの駒とは大きく違う動き方をして、置かれた。  お母さんは、ポーンは前にいる駒は取れない、斜め前にいる駒しか取れないと言っていた。このままポーンを上手に進めてナイトを取ろう。     
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