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翌日。仕事をしようと畑に向かおうとしたらアベルさんがやって来た。
「よ。チェスは教えてもらったか?」
「はい。でも……中々勝てないんです」
「ハッハッハ! そりゃそうさ! あいつは昨年の世界大会優勝者だぞ。勝てる訳がない!」
その言葉を聞いて、後ろにいるお母さんを睨みつける。
勝てない勝負をわざと挑ませて楽しんでいた、これは酷いことだ。
睨みつけたのが聞いたのか、お母さんは柱の影に隠れてしまった。
「フェイト、言ってなかったのか?」
「その方が面白いと思ってね。でも、ノアも中々の腕だ。まさか私の駒を利用するとはね。本当に将来が楽しみだ」
「へー、お前の駒を、ね。そりゃ楽しみだ。それまで俺たちが生きていればいいけどな」
「本当にね。そうだと良いわ」
「え!? 二人とも死んじゃうんですか!?」
慌てて二人を見る。
「おいおい、そんな当たり前のことで驚くなよ。俺たちだって人間だぞ? 寿命もたった八十年程度しかない。そして、この世界には事故もある。いつ、どこで、だれに、なんてわからないんだ。もしかしたら空から隕石が降ってきて俺たちが死んじゃう可能性だってあるんだぞ?」
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