第二章 少年期【中】

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「それでも! 二人には生きていて欲しいです!」  大声で叫んだ。二人に生きていて欲しいと。  ただの奴隷扱い当然だった僕を引き取って優しく育ててくれたお母さん。  そして、お母さんの友達で、僕に優しくしてくれたアベルさん。  二人とも、大切な存在だ。死ぬなんて許さない。絶対に許さない。 「……そうね。私たちはノアの成長が楽しみなんだから、生きなくてはいけないね。……よし! ノア、アベルにチェスを教えてもらいなさい。多少できるから良い練習相手になるわよ。私は畑仕事が終わったら相手になってあげるから」 「え、でも、僕の分の……」 「私が全部やってあげましょう! ノアの腕が上がるんだから安いもんよ」  お母さんは風のように僕たちの間を通って、家を出た。  残った僕たちはリビングに戻り、テーブルの上にチェス盤を置いて、駒を並べた。 「お母さんと戦ってどうだった?」 「かなり余裕そうな顔でやってました。優勝者なら納得です」 「前々から思っていたけど、ノア君。ノア君って結構頭良いよな? まだ十代前半とは思えないほどの言葉遣いとか、ルールを覚える速さとか。そう言う教育されたの?」     
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