翠の瞳

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「俺には妹が一人います。 もう嫁いではいるのてすがこれが口煩くて・・」 琢磨の言葉に烏丸が微笑む。 この夜を切っ掛けとするように、二人は良く話をするようになっていった。 翌日、それぞれに別れて調査に出た鬼達は昼になって可愛い小袋を琢磨から受け取った。 「琢磨様、これは?」 見慣れぬ小袋に皆戸惑いながら中を確かめる。 「あっ!日本のお金だ!」 「えっ、本当か?」 「わあ本当にお金だ!」 皆は一斉に小袋を開けて仲間の顔を見る。 「騒ぐな! 若様からのこずかいだ。 街に出れば、食べたいものも、欲しいものも、家族や恋人への土産品も売ってる。 だが我らの国の金では換金も難しいだろうとの心遣いだ。 皆有り難く頂くのだぞ」 そう言うと皆の顔を見周す。 皆は嬉しそうに、そして大切そうにポケットや財布に小袋を仕舞う。 「でもこの小さな袋は?」 「ああ、それはこの国の習慣でな。 大人が幼い子供にこずかいをやる時や、目下の者に感謝の気持ちを伝える時に使うらしい。 夕べ烏丸様が用意をしてくださった」 「可愛いな・・ この袋だけでも妹なら大喜びしそうだ」 その様子に琢磨は葛葉を思った。 (若にも、この袋だけでも・・) 一方、大津組には葛葉が皆に小袋を渡す。 こちらも皆大喜びで、京都に帰ったら土産をと大切そうに仕舞う。 それから何人かのグループに別れて情報を集める為に散っていった。 「若、大津と言えば県庁所在地なのに、なんだか寂しい感じですね」 仁鵝が大津駅の駅舎を見ながら葛葉に言った。 「玖珠里の情報だと、琵琶湖の此方側は京都に出る方が便利なのだそうだ。 大きな湖だから、昔は海だと思っていた人もいたらしい。 対岸の街ならそれなりに賑やかだそうだが・・ おっ、メールだ」
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