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そうか、いないんだ。
「残念なの?私は良かったなって思ってるけど」
「え?」
手が少し汗ばんできた。
彼の動揺も治まらないようだ。
でも、あくまでもクールに話を進める。
「デート、してあげよっか」
「い、いいんですか?!僕、こんなおじさんなのに」
遂には、急に立ち上がって大声を出した。
椅子が勢いよく倒れて、周りの客の視線が一斉にこちらに集中する。
パフェを運んできたウェイトレスも、手前で立ち止まってしまっている。
二人して、慌てて周りの客に頭を何度もさげた。恥ずかしかった。
やっと運ばれてきたパフェを一口頬張りながら、私は小声で告げた。
「で、どうすんの?するの?しないの?」
まだ動揺が収まらないのか、テーブルに視線を落とし、肩で何度も息をしながら、彼はやっとこう言った。
「ぼ、僕でよければ」
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