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品出しを終え、店内の時計に目をやると、時間は既に二十二時を回っていた。
「高木さん、ごめんね、時間過ぎちゃったね。上がって下さい」
「はーい」
交代で入ってきた、他の店員に声を掛けられて、私はバックルームに向かう。
入った当初、十七歳だった私は、若い女の子という事で、十八時までの勤務だった。でも、十九になった今では、こんな時間まで使われるようになっていた。
着替えてレジ前を通る時に「気を付けて帰ってね」と言われ、私は「お疲れ様でした」と、返す。
こんな時間までうら若き乙女を使っといて、気を付けてもないもんだ、と思いながら、私は店を出た。
今日はなんだか疲れた。甘いものが食べたい。
そう思った私は、家路の途中にあるファミレスに立ち寄る事にした。
こんな時間でも、店内は賑わっている。
ぱっと見、席が空いているようには見えない。
店内を見回していると、店員に声を掛けられた。
「お一人様ですか」
言われて私が頷こうとした時、その後姿が目に入った。
グレーのコート。白髪交じりの頭髪。
その人は、四人掛けの席に、一人で掛けていた。
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