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私は、店員さんを一度制止して、その人のところに歩み寄った。
「おーじーさん」
体を斜めにして、声を掛けてみた。
「え、うわっ!?」
その人は、驚いた拍子に、手に持っていたフォークを落とした。
「さっきはどーも。おじさん、私にお礼したいって言ってたよね」
問いかけても、目を見開いて微動だにしない。
「お礼、させてあげよっか。ここ、いい?」
返事を待たずに、私は向かいの席に腰掛けた。
その時になって、やっと動き出したその人は、慌ててフォークを拾うと、やっと口を開いた。
「バイト、終わっ、たの?」
さっきからずっと動揺しているその人を見て、私は可笑しくなった。
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