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 ディラインはこの内容を七歳のレイリが熟知しているのかと思うと、末恐ろしい気がした。だが術士は皆そうなのであろう。  確認が終わる。結果は、芳しくない。憶えた気はするが詳しくは思い出せない箇所が幾つか見られた。  複製素材の難度が上がる程、それが増える。複製元と複製者と複製先、どこに原因があるのかは判断できないとされたが、レイリの結果が日々『良好』であるからには複製先に問題があると考えるしかなかった。 「ねえ今日ディラインの家に遊びに行っていい?」  無邪気に自分を見上げるレイリに、ディラインは笑いかける。コルエラは最初の日以来予定が合わず、すぐに迎えには来なかった。  レイリはいつも一人訓練施設に行って本を読みながらコルエラを待つ。しかしディラインが研究後王宮に出仕しない日は、彼の住む騎士官宿舎に遊びに来る事もあった。 「いいぞ。でも俺なんかの家に来て面白いか?」 「うん!」  レイリはディラインと一緒にいるだけで嬉しかったし、宿舎で他の騎士と会うのも楽しかったのだ。  意気揚々と宿舎に向かうレイリに対して、ディラインは不安と焦りが胸の底で交錯するような気分であった。  不明瞭で意味を成さない記憶が蓄積していることに、自分に対する苛立ちを覚えた。
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