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 バートが言葉を継ぐ。 「幾つかの要素が集まって偶然使えるようになったんだろうな。魔法を使える適性が多分にあって、それが術法を使うための知識の欠落した箇所を補っていたんだろう」  ディラインは何も言えなかった。それが結局どうなのか、察することができない。バートは無言のディラインから一度目を逸らし、告げた。 「魔法に関しては私とヴェラルダには指導も忠告もできない。このまま研究を続けて万が一君の命に関わるといけない。申し訳ないが、君に対する研究は、中止したほうが良いと判断したのだが、了解してくれるか?」  ディラインにその時気力がなかったのが良かったのか悪かったのか、さほど間を置かずに彼は静かに返答した。 「わかりました」  ディラインは研究室を出る。  明日で最後だ。今日の記憶の複製が風の術の最終段階、確認せずに中止するのはあまりに中途半端で嫌だった。  廊下を少し進んだところで、後ろからレイリが走って追いかけてきた。 「ディライン、明日で終わりなの?」  ディラインは振り向かない。 「ねえ」  煩わしかった。しかし話たくないと言う気力もない。 「ねえ」  力なく振り向く。レイリが歩を止めたので、ディラインは構わず歩き出す。     
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