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その日レイリを迎えに来たコルエラは、バートからディラインが研究を中止すると聞かされた。それでレイリがいつもより静かなのか、と納得する。相当懐いていたから、毎日会えなくなるのが辛いのだろうと思った。
それから最近のレイリの状況を記した書類を手渡された。研究が終わった後、コルエラが他の術を教えるために必要なものである。
術の威力は小さいが、日々微かに向上しているらしい。記憶の複製の方は完璧だとなっている。俯くレイリを励ましながらコルエラは家へと戻った。
夜。レイリは布団の中で一人、息の詰まる思いをしていた。
今日の別れ際のディラインの顔が頭を離れない。自分を拒絶する冷たい目。
自分は嫌われたのだろうか? でもなんで? 何も悪いことはしていない。
レイリは何故なのか解らなくて泣きたい気持ちだった。あんなにたくさん遊んでくれたディラインに、嫌われるなど信じたくなかった。
そして、ふとレイリはコルエラの顔を思い出した。コルエラも、自分がいつまでたってもちゃんと術を使えなかったら、あの冷たい目と同じ目で自分を見るだろうか。
声をかけても応えてくれずに、見限られる日がいつかくるのではないだろうか。
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