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「ディラインは疲れていてお前に冷たいことを言ってしまったんじゃないかな。ディラインの周りの人達がそれぞれちょっとずつ負担をかけてたんだよ。お前が悪いんじゃない」 「うん」  レイリの自責の念はいくらか和らいだだろうか。そしてコルエラは続けた。 「俺も、お前に負担をかけていたな。お前の為と勝手に思って、勉強がしたいのに、外に連れ出して」  レイリは慌てて頭を横に振った。 「違うよ! あのさ、もっと勉強したいっていうのは嘘だよ!」  レイリの気遣いが嬉しく、痛ましい。 「おれ、いっぱい勉強しなきゃ、コルエラに、もういらないって孤児院に返されるんじゃないかって思って、恐くって」  レイリはすまなそうに目をしばたたかせた。養子にしていればこんな不安は与えなかっただろうか。コルエラは改めて単なる保護者となったことを悔いた。 「いっぱい憶えたつもりなのに、術が使えなくて、本当にコルエラに嫌われると思ったんだ。嫌だったんだもん」  レイリはうつむいてしまって表情が判らない。泣いているのを隠しているように見えた。  コルエラは、そのレイリの頬にそっと触れた。 「どうして、そんな」  コルエラ自身は、レイリを嫌いになるなど露ほども考えつかないことであった。  血が繋がっていなくても、こんなにも、どうしようもなくいとおしい。     
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