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 仕事を終えてコルエラがレイリを迎えに行くと、研究室は後片付けの最中で慌ただしかった。四人程研究員らしき人間がいるが、バート以外は術士ではなく一般の助手である。  レイリは部屋の片隅で騎士官服を着た若い男と遊んでいた。二人はコルエラに気付くと連れだって歩いてきた。 「はじめまして。私は騎士官王宮仕のディライン・アスイルです」  訓練された身のこなしで敬礼をする。王宮仕とは王宮に仕える者、騎士ならば仕事は警備であろう。  コルエラは自分と同じ任務を持つ誠実そうな若者と握手を交わした。自らも名乗ると既に相手は自分を知っていた。王宮で何度も見かけたという。  十三人しかいない術士に別の官服なんか作るからだ、とコルエラは知らずのうちに目立っていたことを恥じた。  ディラインは『記憶の複製』のもう一人の被験者だった。歳は十八、中背だが逞しい体躯をしている。レイリは彼を気に入ったらしく別れを惜しむふうにしたので、夕食に誘って帰路に就いた。  いつもより少しばかり豪華な食卓を囲み、三人で談笑する。ディラインにどのような経緯で被験者になったのか尋ねると、彼は苦笑しながら答えた。     
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