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「術を使える騎士を作りたかったらしいですね。そこで何故私が、となると少々言い辛い話なのですが」  彼はそこで苦笑を深める。 「そちらの副長がおっしゃるには、私の容姿が必要だったそうです。次回私のような騎士を育成する際に、私を目指して自ら被験者が名乗り出るように、らしいですね」  そう言われてコルエラは改めてディラインを見た。確かに、見目がとてもよい。彫りが深い顔は恐いくらいに整っていて、短い黒髪がとてもよく似合う。表情によっては幾分幼く見えるのが親しみが持てた。  この若者が有事の際に剣を振るい術を放つ姿は、大層絵になるであろう。 「私なんてまだ、騎士としても端くれなんですけれどね」  遠慮がちに笑うディラインを見て、コルエラは安心した。前例のない記憶の研究も、この若者と共ならばレイリも大丈夫であろう、と。  研究は今日は予定と手順の説明で終わったそうだ。半月程は応急手当や危険回避、調理など術以外の知識を少しずつ複製していくらしい。  ディラインは既にそれらは修得しているので、レイリが学習済みの術士の下地となる知識の複製をする。その後二カ月間を術の複製に当てるそうだ。  本格的な複製がなかったにしてもレイリは色々なことがあって疲れたらしい、ディラインが帰るとすぐに眠ってしまった。
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