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帰り道を、一人歩く。
今日で体育祭は終わった。だけど私の足は、自動的に公園に向かっていた。
二人で練習した、公園。
今日は部活がないので、辺りはまだ明るい。私はブランコ前のベンチに腰を下ろした。
「全部、終わったんだな」
そう一人つぶやいてみる。思えばこの二週間は、怒涛の日々であった。
大変だったけど、楽しかった。
私は目線を空へとやった。
これで、早瀬くんとの接点は、なくなっちゃったな。
次の種目の準備のため、私達は競技後すぐさま解散させられた。
私は早瀬くんを探したが、気が付くともう、その場にはいなかった。
お礼も、言えなかった。
この公園で一人でいると、二人でいた時のことを思い出した。
よく考えれば、人気者の早瀬くんと二人でいた、なんて、奇跡のような出来事だ。
でもそれも、終わり。
今日まではチームメイト。でも、明日からはまた、他人に戻る。
仕方がないとはわかってるけど。
と、その時。
「坂下!」
私は反射的に、姿勢を正した。
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