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アニメ映画『アラジン』の主題歌。
A Whole New World
わたしがまだ幼いころ、父と一緒にお風呂に入るとかならず歌ってくれた。
わたしも覚えて一緒に歌うようになると、今度はその歌詞の言葉ひとつひとつを、父は授業のようにこれはこうゆう意味だよと教えてくれた。
意味がわかるようになってからは、父が歌ってくれるたびにわたしは、いつもお姫様きぶんになった。
父はアメリカ人。
母は日本人。
日本で生まれ、日本で育っていたので、英語は父との会話で使用する程度だった。
もう少し、父といたら、もっとうまくしゃべれるようになっていたかもしれない。
父は、わたしが七歳のときに他界した。
ガンだった。
外資系企業の幹部だったので、家庭は裕福だったと思う。
遺族年金もしっかりしていた。
それでも母はその後、パートをしながらわたしを女手ひとつで育ててくれた。
わたしはそのハーフの容姿から、モデル、それからアイドルと経て、そしてアイドル卒業後はためたお金で大学に進学し、大学を卒業するとローカル局のアナウンサーになった。
ひとり暮らしは寂しかったけれど、アナウンサーの仕事がすごくすごくたのしかったので、わたしはとても充実した日々を送っていた。
失敗は数え切れないほどした。
だけど、失敗は繰り返さなければそれでいいという企業風土や、その土地に根づいた優しく人を育てようとするおおらかな環境がそこにはあったので、わたしは順調にのびのびとアナウンサーとしての経験を積むことができた。
母とは毎日のように電話していたし、母にもあらたな恋人が出現しているようだったので、実家に帰るのはほんとうに、夏休みと、お正月休みくらいだった。
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