時間の止まった部屋で

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   何も変わらない、そんな僕の予想は次の日からあっさり覆された。  まず初めに、がりがりと今まであまり耳にしたことが無い音がドアから聞こえ始めた。何だろうとしばらく考えてみたがイマイチ分からず、まあいいかと目を閉じ意識の外へやろうとした次の瞬間、「いやあぁぁーー!」と普段穏やかな母の悲鳴が響いて閉じたばかりの目をかっ開くことになった。  慌てたように開かれたドアから駆け込んできたのは前日の子猫。子猫は迷わず僕に飛びかかってきて、そのまま────僕の体をスカッと通り抜け壁に激突した。  「おい!? お前大丈夫か!」  仰天して子猫に向き直れば、きょとんとした様子で僕を見上げてくる。  「怪我、怪我ないか?」  問いかければ、座っている子猫が後ろ足をたしたしと踏みしめる。そして跳びかかってきた。  「懲りないなお前!?」  やっぱり体をスカッと通り抜ける子猫にほっとしながら思わず突っ込んだ。と、同時に気付く。  (なんか、触ってる感触が……ある?)  昨日踏んづけられた時もそうだが、身体を通り抜けても何となく触っている感触がある。体の中で触感が働くのもなんだか不思議な気分だ。     
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