綺麗になんてなれない

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 だけど、雅義くんの告げた事実は、私の浅はかな読みなんてあっさり飛び越えていった。 「はは。照れてんの? 巴は大丈夫だよ。もうすぐ絶対振られないお墨付きをもらえる予定だから」 「――え? それって……」  意味するところなんて簡単に想像がつくのに、声に出したら本当になってしまいそうで、私は口を閉ざした。往生際悪く、ほかの意味を探そうとしたのだ。  けれど、雅義くんが照れくさそうに、でも幸せでたまらないと全身で主張するオーラを漂わせるから、ああ、現実なんだと私は悟った。 「この度、結婚することになりました。今日は巴のご両親に挨拶に来たってわけ」  巴ちゃんの実家も当然この近所だ。彼の言っていることは、間違いなく、真実だ。  私は、衝撃に上手く回らなくなった頭をどうにか働かせて、ここで口にするべきセリフをひねり出した。 「そ、そうなんだ。えっと、お、オメデトウゴザイマス」 「なんだ、テンション低いな。もしかして、あんまり嬉しくない? 俺に巴はもったいないとか思ってる?」 「いや、そんなことないよ。ただ……びっくりして。小さいときから、一緒だったから」 「まあ、そうだよな。幼馴染と結婚ってめずらしいし。……といいつつ、若葉だって義之と仲良くやってるんだろ?」  私はぐっと言葉をつまらせた。     
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