オラシオン

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最期を覚悟した君は、俺に看取られたいと言ってくれた。 一樹だけ咲かせることに成功した満開の桜を見せると、綺麗だと喜んでくれた。 時の流れの速度を無視して、サクラの身体は急速に老いていった。 どんどん皺が増えていく自分をサクラは醜いと言ったけれど。俺には今までで一番綺麗に見えた。 俺の腕の中で長い眠りについたサクラは、最後に祈りを託していった。
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