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まるで真夏の海のような綺麗なマリンブル―の瞳に吸い込まれそうな気がして・・胸がざわついた。
「・・よろしく・・山城だ」
俺は自分から彼女に挨拶してた。
「・・・・・」
は?・・彼女は俺をチラ見程度に見た後、挨拶も返さずプイと視線を逸らした。
嘘だろう?
こんな反応されたの初めてで面食らってしまった。
なんだ?この女・・俺にこんな反応するなんて――
「山城くん、よろしく!私、山崎です」
彼女の隣の女子が顔を上気させて興奮気味に挨拶してきた。
そうだよ・・この反応だよ。
隣の女子の反応に気を取り直した俺はとびっきりのスマイルで挨拶を返した。
「・・よろしく」
隣の女子に挨拶して席に着くと直ぐにショ―トホ―ムル―ムが始まった。
授業中、なんとなく後ろの席の彼女の事が気になった。
前の学校でも学園の王子とか学園一のイケメンなんて言われて俺に近付きたがる女はいても無視する女なんて今まで一人もいなかった。
気にいらない。
転校早々、嫌な思いさせやがって。
相手がブスだったらたぶん気にも止めなかったと思う。
でも・・滅多にお目にかかれないような美人だとそうはいかなかった。
俺のプライドが許さなかった。
どうしても俺に靡かせたい。
いや、絶対に靡かせてやる。
俺は胸の中で毒づいた。
休み時間になると予想通りの光景が展開された。
俺の回りを二重にも三重にも女子共が取り囲んでた。
キャ―キャ―流石に五月蝿かった。
俺の趣味だの何だのどうでもいいようなくだらない質問に俺は愛想よく答えてた。
本当はこんなどうでもいい質問うざったくて答えたくもない。
でも転校早々、本性を出す訳にもいかない。
コイツ等もそのうち飽きるだろう・・それまでの我慢――!
後ろの彼女が席を立つ音がした。
振り向くと彼女は本を手にして席から離れようとしているところだった。
「あ・・ごめん、俺のせいで五月蝿くて・・読書の邪魔しちゃった?」
俺は彼女の反応が見たくてわざとしおらしく声をかけてみた。
「・・・・・」
相変わらず彼女は無言で視線を逸らすとあろう事かそのまま教室から出て行ってしまった。
想定内の事とはいえ謂われもなく無視され続けるとだんだん腹が立って――
「なに、あれ?お高くとまっちゃって感じわるぅ」
「ほんと、ちょっと綺麗だからってなんなのよ」
「性格悪いのになんでモテるんだろうね?」
彼女が席を離れた途端に俺の周りの女子共が彼女の悪口を口々にいい始めた。
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