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聞いてて余りいい気がしなかった。
元来・・俺は女子共の噂話と悪口が大嫌いだ。
「ごめん、今日、転校して来たばっかで悪いんだけど・・俺の前で誰かの悪口言うの止めてくんないかな。俺そういうの嫌いだから」
別に彼女の事を庇うつもりじゃなかったが・・俺は女子共に言ってた。
彼女の事を口にした女子数名が気不味そうに口をつぐんだ。
気不味い空気が流れて女子共が静かになったのと同時に休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴った。
女子共は蜘蛛の子を散らすように自分の席へ帰っていった。
授業が始まっても・・彼女は教室に帰って来なかった。
次の授業も・・その次の授業にも彼女は顔を出さなかった。
結局、彼女は午前中の授業が終わっても教室に姿を現す事はなかった。
その間も女子共は飽きる事なく俺の周りに屯していた。
・・流石に気になった・・俺は彼女の隣の・・確か山崎とかいう女子に彼女の事を聞いてみた。
「ねぇ、山崎さん、俺の後ろの席の彼女って・・何時もこんななの?」
「え~、私の名前、覚えてくれたんですか?感激です~」
・・そんな事・・どうでもいいから俺の質問に答えろよ。
「くすっ、可愛い子の名前は直ぐに覚えちゃうよ。山崎さんって彼女と親しいの?」
「え~!・・か、可愛いだなんて・・そんな・・きゃ~恥ずかしいです」
・・だから・・俺の質問に早く答えろって・・ブス。
「山崎さん、俺の質問に答えてくんない」
「あ・・ごめんなさい、沢口さんの事でしたよね?」
「そう・・その沢口さんて何時もこんなに授業サボる子なの?」
「いえ、そんな事ないです。サボりかどうか分かりませんけど・・今日みたいな事、初めてです」
「・・そうなんだ」
俺は・・山崎って女子の言葉で益々、彼女の事が気になった。
今まで授業をサボった事のない彼女が俺が転校して来た日に限ってこんなに何時間も授業に出ないなんて・・・俺のせいか?
さっきの女子共の噂話が耳に入って・・・気を悪くしたとか?
「俺さぁ、彼女に無視されたんだけど・・なんか彼女の気に障る事したのかな?」
「あ・・それ、気にする事ないと思いますよ。彼女、誰にでもああですから。私なんてクラスが一緒になってから今日まで一度も口きいてもらった事ありませんから。毎朝、挨拶しても無視されっぱなしです」
「・・そうなの?そりゃ・・また、酷いね」
「クラス全員、彼女の声、聞いた事のない人が殆どだと思いますよ」
は?クラスの全員が彼女の声を聞いた事がない?・・なんだ・・そりゃ?
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