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「ねぇねぇ、今日、転校生が来るみたいだよ」
「え、そうなの?男子?女子?どっち?」
「男子だって。それも、かなりイケメンぽいよ」
「え~マジで?なんで知ってんの?」
「今朝、日直で職員室に日誌取りに行った時、担任の綾辺が話してた」
「「「キャ~楽しみ!」」」
ふん・・くだらない会話・・キャイキャイ朝から騒々しい。
朝からあんなテンションで良く喋れるもんだ・・・私の一番嫌いなタイプの人種だ。
私の席は一番後の窓側・・・クラス全体が見渡せる場所だ。
お陰で見たくないものまで視界に入ってくる。
私は沢口美桜・・・高校生・・2ヶ月前2年生になったばかりだ。
友人が一人もいない・・てか・・いらない。
嫌いなもの・・朝からハイテンションの女子共・・かわいこぶりっ子するバカ女・・誰にでも持てたがる八方美人な奴・・・全体的に女子が嫌い。
かといって・・男子が好きな訳でもない。
はっきり言って・・私は人が嫌いだ・・だから友人はいらない。
「おはよう、沢口さん」
「・・・・・」
私は基本・・誰にも挨拶は返さない。
私は・・変り者の天使・・なんて陰で言われてる。
天使なんて・・おこがましいが事実そう言われているからしょうがない。
身長は高からず低からずで細身だ。
髪型は少しウェ―ブのあるロングヘア―で・・色はミルクティ―みたいな薄いブロンドで・・肌が白くて・・目は大きな二重で睫毛が長くてカ―ルしたみたいになってる。
お陰で睫毛ビュ―ラ―がいらない。
瞳の色がみんなと少し違う・・ブル―だ。
祖母がロシア人で・・私はクォータ―だ・・・父親の系列だ。
私が人を嫌いなのはこの容姿のせいもある。
小さい頃はお決まりの仲間外れやイジメにあってた。
近付いて来るのは殆ど興味本意の奴等ばかりだった。
人を疑う事を知らなかった私は本当に友達になってくれると期待してよく泣かされた。
成長するに連れて嫉妬や羨望の両極端の対象にされて・・・ある事ない事・・陰口や噂のオンパレ―ドだ。
人は信じるもんじゃない・・今ではいい教訓だ。
「あれっ、聞こえなかったかな?・・沢口さん、おはよう」
「・・・・・」
チッ・・毎朝・・懲りない奴だ・・さっきも挨拶してきた私の右隣の席の女子だ。
私の嫌いな人種のひとつ・・・八方美人だ。
クラスの男子にも女子にも人気がある・・・誰にでも気さくで分け隔てのない態度が人気の要因のようだ。
でも・・私は嫌いだ・・うざい・・話かけないで欲しい。
予鈴が鳴った・・時計は8時15分だった。
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