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どうやら・・私は潜り込んだ布団の中で一睡も出来ないまま朝を迎える事になってしまったようだった。
部屋に響く何時もの目覚まし時計のアラ―ム音で朝を迎えた事に気が付いた。
「嬢様・・おはようございます。ご気分はいかがでございますか?学校はどうなさいますか?・・お休みになられます――」
「行くわよ。・・学校には・・ちゃんと行けるわよ」
私は・・私を気遣ってくれる爺の言葉を遮って素っ気なく答えた。
寝不足・・てか・・一睡も出来なかったせいで妙に気が尖ってイライラした。
・・別に爺に苛ついてる訳じゃない。
昨夜・・爺の涙にショックを受けて・・これ迄の自分の言動を省みていろいろ考えた筈なのに相変わらず爺に甘えて子供染みた態度しか取れない自分にうんざりだった。
パパや爺に・・これ以上、迷惑を掛けない為に私はこの先どうしたらいいのか真剣に考えた。
でも、考えれば考える程いろんな事が際限なく頭に浮かんできて・・ごちゃごちゃとこんがらかってしまって何ひとつ答えなんて出なかった。
笹川くんと・・このまま会っていいのだろうか?
笹川くんと会う事をパパはなんとなく許してくれたぽかったけど・・何故か手放しに喜べなかった。
それに・・疫病神や山崎さんに・・これからどう対応すればいいのか・・昨日、学校であった事を思い返すと具合が悪くなりそうだった。
うっ・・疫病神に言われた事や・・あんなヤツの前で泣いてしまって抱き締められた事がリアルに甦ってきて独りでに顔が赤くなってしまった。
・・きっと・・発作のせいだ。
疫病神の方だって・・発作を起こした私を目の当たりにして動揺してただけの事だ。
確かあの時・・疫病神に・・疫病神さえ私の事を分かってれば・・他の人の事なんて気にする事はないみたいな事を言われた。
正直・・疫病神が何故あんな事を私に言ったのか今も良く分からない。
残念ながら・・この5年間の間、人を疑う事に特化してしまってた今の私には疫病神の言葉をそのまま信じる事なんて到底出来なかった。
それでも・・煩いくらいに波打つ胸の鼓動と頬の火照りを覚えずにはいられなくて・・私は思い切り頭を振って疫病神の事を頭の中から振り払った――
「嬢様・・登校なさるのでしたら・・そろそろ準備なさいませんと間に合わなくなってしまいますが・・」
「・・・・・」
爺の言葉を受けて余り気の進まない中すごすごと学校へ行く準備に取り掛かった。
パパは昨夜は会社に泊まりだったらしく顔を見る事はかなわなかった。
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