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「おはよう、みんな席に着いて」 担任の声に散らばってた生徒達が席に着いた。 今日も退屈で代わり映えのしない一日が始まる。 「ショ―トホ―ムル―ムの前に転校生を紹介するわね・・山城くん、入って」 転校生が教室の入り口に姿を現した途端・・・教室中がざわついた。 さっきのハイテンション女子共の噂は本当だったようだ。 「うわぁ、イケメン」 「めっちゃ、カッコいい」 「「「「「キャ―」」」」」 あっちこっちから響動めきと喊声がおきた。 殆どの女子が高揚した顔で食い入るように教壇の方を見てた。 「山城苳瑚です。よろしく」 担任が黒板に転校生の名前を書いていた。 やましろ・・とうご・・・字が難し過ぎる。 身長は180センチくらいだろうか?均整がとれてスタイルが良かった。 髪は・・染めているのだろうか?・・少し緑がかった黒だ。 顔は・・直ぐにでも芸能界デビューできるんじゃないないかってくらい整ってて・・綺麗な顔をしてた。 確かにイケメンだ・・・女子共が騒ぐのも無理もない。 心なしか担任の顔まで高揚しているように見えた。 「席は・・・えっと・・窓際の後から二番目の席に座って」 「はい」 イケメンは返事をすると担任に言われた席へ移動した。 イケメンの移動に合わせてクラス中の女子共の顔が動いてた。 プッ、笑える――え?・・何? 私の前に影が差した・・・顔を上げるとイケメンが大きく目を見開いて・私を見てた。 あ・・窓際の後から二番目の席って・・私の前の席だった。 つい、先週、他校へ転校したばかりの生徒の席だ。 「・・よろしく・・山城だ」 「・・・・・」 私は基本・・誰にも挨拶は返さない・・・例外はない。 「山城くん、よろしく!私、山崎です」 私の隣の八方美人女子だ・・・顔を赤くして興奮気味に挨拶してた。 「ショ―トホ―ムル―ム始めるわよ」 担任の声でイケメンも席に着いた。 ざわついてた女子共が少しだけ静かになった。 うぅ~・・なんなんだこの状況は? 一時間目の授業が終わった途端、騒がしい女子共が私の席の回りに屯してた・・・当然、イケメン目当ての奴等だ。 キャイキャイ・・黄色い声で五月蝿くてかなわない。 私は何時も休み時間は本を読んでいる・・今日はとてもじゃないが・・無理だ。 暫くはこの状況が続くだろう・・・何処か避難場所を考えた方がよさそうだ。 私は五月蝿さに耐え兼ねて席を立った――ん?・・尋常じゃない視線を感じた。 顔を上げると・・イケメンとイケメンに屯している女子共が一斉に私を見てた。
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