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「苳瑚、あなた、家の建て直しが済むまで、東京のお祖父様の所へ暫く行ってちょうだい」 一週間前、お袋に突然言われた。 神戸の芦屋にある俺の家は父方の曾祖父さんの代から住んでる家で相当古い代物だった。 今年、築年数100年を越えるとかで建て直す事にしたらしい。 「は?何、突然、言ってんだよ?転校なんてしねぇよ!勝手に決めんな」 「は?・・じゃないわよ、家の建て直しは三ヶ月前から決まってた事よ。家に帰らないで遊び歩いてるあなたが悪いのよ。とにかく一週間後、お祖父様の所へ行ってちょうだい」 「嫌だ!近くにマンション借りてくれよ。転校なんてしねぇからな」 「ダメよ、あなたを一人暮らしさせたらとんでもない事になるに決まってるから、却下よ。それに、もう転校手続きは済ませてあるから・・安心して東京へ行ってちょうだい」 そう言って、お袋はにっこり微笑んだ。 結局、俺の抗議も虚しく転校を余儀なくさせられた。 あんの・・くそばばぁ・・俺の言い分、尽く却下しゃがって。 俺を祖父さんの所に預けて自分は海外で貿易会社をやってる親父の所へさっさと行っちまいやがった。 一人暮らしをさせるととんでもないなんて抜かしやがって・・ご丁寧に祖父さんに監視まで頼みやがって。 お陰でダチとも離れる事になっちまった。 彼女はいなかったがセフレは何人かいた。 まっ・・東京でもセフレの一人や二人くらい直ぐにできるだろう。 どうせ家が出来る迄の辛抱だ半年もすれば神戸に戻れるだろう。 俺は割り切って東京での学校生活をエンジョイする事にした。 「山城苳瑚です。よろしく」 担任に言われて自己紹介した。 色めき立った教室のあっちこっちで女子の喊声やらヒソヒソと話をする声が聞こえた。 クラスの殆どの女子が俺に釘付けだった。 当然の反応だ。 俺はルックスがかなりいい方だと自負してる。 前の学校でも随分モテた。 「席は・・・えっと・・窓際の後ろから二番目の席に座って」 「はい」 俺は担任に言われた席に移動した。 窓際の後ろから二番の席って・・ラッキ―だった。 隣が男子で俺の後ろの席は女子だ――え? 人形?・・そう思う程・・綺麗な子だった。 染めてるのか? 日に透けるような綺麗な金色の髪に陶器みたいに白い肌をしてた。 ・・こんな綺麗な肌・・初めて見た。 俺が見惚れていると彼女は顔を上げた。 なんだ?カラコンか? いや・・違う・・多分、裸眼だ。 彼女の瞳は見た事もない綺麗な青色だった。
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