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とあるアパート。
六畳よりちょいと大きな部屋に、頭がボサボサの男子大学生が一人と、みどりの黒髪、白い和服に身を包み、男子大学生が買った漫画を読み漁る女性が一人。
男子大学生は、何の珍しさもなく彼女に声をかける。
「なあ、神様」
「どうした、小僧」
「レポート手伝って」
「百円」
「夕飯の買い出し行ってきて」
「経費と五千円」
「風呂洗って」
「三百円」
「コーヒー入れて」
「五円」
「肩揉んで」
「五十円」
「一緒にお風呂入って」
「目隠しして五円」
「目隠しなしなら?」
「お前の人生全て」
「それって結婚しようってこと?」
「神になる覚悟があるならしてやってもよいが?」
「面倒くさそうだからやめとく」
「そうか。して、望みは?」
「コーヒー入れて」
「聞き届けた。そら」
「サンキュー。はい、五円」
「確かに受け取った」
「あとさ、これ前からの疑問なんだけど」
「ん?」
「なんで神様がうちの部屋にいるの?」
「なんじゃ、知らんのか」
「知らねえよ。聞いたらダメかと思って今まで聞かなかっただけだ」
「なら何故今聞いた?」
「なんとなく」
「そうか」
「で、なんでいるの?」
「なんとなく」
「なんとなく、か」
「なんとなく、じゃ」
「なら、しょうがないな」
「あぁ、しょうがないしょうがない」
「レポート手伝って」
「聞き届けた」
神様は、願いに見合う対価を払うことで、願いを叶えてくれる。
これは、ただの平凡な男子大学生と、何故か彼のもとに居座る女神様の、ちょっと奇妙な物語。
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