第26話 大会前日

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「明日は何時から?」  舞が幸雄に聞いた。 「開会式が9時からで、五分団は3番目だから10時くらいじゃないかなぁ」  自信なく幸雄が答えた。  二人は町内のホテルのラウンジにいた。時刻は午後10時を過ぎたところだ。舞は仕事が終わってから幸雄と待ち合わせをして30分前に落合った。  舞は淡いオレンジ色がベースの柄が入ったキャミソールの上に白い半袖の襟付きシャツを羽織っていた。ブラウンのショートスカートから覗く足が組み替える度にガラスのテーブル越しに幸雄の目の位置から見える。 「じゃあ、9時半に行っていれば間違いないね」 「そうだね。開会式が終わった頃だし」  舞の足が気になる幸雄。 「ご飯は食べたの?」 「うん。普通に職場で食べたよ」 「それじゃあ、帰ろうか・・・」 「う~ん・・・」  舞はコーヒー飲んでそれだけなの? と思った。不満に思いながらも幸雄の後に従った。  ホテルのエントランスホールに差し掛かったとき舞が、 「湯畑でも散歩する?」  と幸雄に聞いた。 「え? 恥ずかしいよ。誰かいるかもしれないし」  と返す幸雄。  舞は少しムッとした。  駐車場に停めてある幸雄のステーションワゴンに二人は乗った。走り出せば間も無く舞の寮に到着してしまう。 「緊張してる?」  舞が運転する幸雄を覗き込んで言った。 「いや、何か今は自信がある。昨日ね、教官がみんなの緊張をほぐしてくれたから楽になったんだ」  前を見ながら答える幸雄。 「そう。よかったね」 「うん」  舞の寮に到着した。 「それじゃあ」  と幸雄は舞を見た。 「・・・・・・」  舞は下を向いて何か考えている様子だ。
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