第26話 大会前日

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 幸雄はそれに気を遣い、 「明日は無理に来なくてもいいから」  と言った。 「・・・・・・」  黙って舞は幸雄を見た。そして困ったような表情で、 「白鳥さんはそれでいいの?」  と急に言った。 「え?」  何か怒らせたのかと焦る幸雄。 「大事な大会前に会ってコーヒー飲んで『バイバイ。明日は来なくていいよ』なんて・・・」  思い詰めたような舞の顔に幸雄は困って、 「え? 別に俺は・・・」 「別に何?」  今までに聞いた事がない舞の強い口調だった。 「え? ど、どうしたの?」  幸雄は言葉が見つからなかった。その時、別の車が駐車場に入ってきた。ヘッドライトが二人を照らす。 「白鳥さん、とりあえず車出して」  舞の言葉に従い車を発進する幸雄。  幸雄は100mほど離れた土産屋の駐車場に車を移動した。この時間は閉店となっており誰もいなかった。 「・・・・・・」  車の中で二人はしばらく無言だった。 「ごめんね、さっきは」  と幸雄は意味も分からず謝った。 「だから、何がゴメンネなの?」 「ええ?」  舞はどうしてしまったのか、幸雄は困り果てた。 「・・・・・・」  黙り込む幸雄。  見かねて舞は決心をして言った。 「私はこれ以上、白鳥さんと会う必要があるの?」  驚いて舞を見る幸雄。 「え? 必要だなんて・・・」 「どうなのよ?」 「どうって・・・」 「ちゃんと答えて!」  舞の目に涙が浮かんでいた。 「俺は・・・会いたい・・・」  幸雄は言う時が来たと、ようやく気が付いた。
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