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麓のコンビニで酒と肴を購入し、数百年の樹齢があると思われる桜の巨木を目指して山を登る。
急な斜面を登らなければ辿り着けない山の上の桜の木の為か、花見客の姿は皆無だ。
桜の幹から伸びる太い根っこに腰を下ろし、幹に背中を預ける。
咲き誇る満開の花を見上げ、花の間から差し込む木漏れ日に目を細めた。
ビニール袋から酒のボトルを取り出し、蓋を開け一口ラッパ飲みする。
山々に囲まれた風景を見ながら、背にしている桜の木が見て来たであろう悠久の時の流れに思いを巡らす。
眼下に見える平野と川に沿って延びる旧道、この地は古くから幾度となくその所有者を代えてきた。
目を瞑ると耳に法螺貝の音が響き、多数の騎馬が駆け抜ける音と鬨を上げる者達の声が聞こえる。
書物で知った此の地に攻め入った幾多の武将達。
彼等の戦の模様を頭に描きながら、チビリ、チビリと酒を飲み、肴を口にする。
西の空が朱く染まって来た。
桜の根っこから腰を上げ、もう一度咲き誇る桜の花を見上げてから帰路につく。
此の地で死んでいった者達に思いを馳せながら。
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