第1話『コールドスティール1981』

10/35
前へ
/98ページ
次へ
   ジャック、それらには興味なさげに歩く。 ○ビルの一画・ラスキンの事務所・夕方    ジャック、机越しにディスクケースをラスキンへ寄越す。ラスキンは贔屓の女優のブロマイドを眺めている。 ラスキン「マクバードは」 ジャック「始末した」    ラスキン、ディスクケースを手に取る。 ジャック「だが弾を一発外した。現場の天井に残してきた」 ラスキン「……」    じろりとジャックに視線を巡らせながら、ディスクケースを顔の横に掲げる。 ラスキン「ジャック・オブライエン。悲劇の幕引きには一発の銃弾が相応しい。余分に撃っては、私のシナリオが狂ってしまうではないか」 ジャック「お前が台本を渡したことなどあったか」    ラスキン、軽く笑い、ディスクケースを引き出しにしまう。 ラスキン「ない。お前は黒子がいいところだ」    ラスキン、机の上で両手の指を組み合わせる。 ラスキン「北の連中はディスクがマクバードと共に失われたと思い込む。しかし実物は君が持ち帰ってくれた。連中が騙されたままなら、我々はディスク内の暗号表を最大限有意義に使うことができるかもしれないし……できないかもしれない。だがシナリオを知らない君は、君の仕事をするしかない。いいね?」     
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加