第1話『コールドスティール1981』

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男B「じゃこうしましょうよ、オルキアの少尉。まずはアンバークラウン国歌を教えてください。俺たち、ど忘れしちまって」    アルフレッド、おもちゃの拳銃をギリ、と握りしめる。 男B「家族の前で歌ってみせたでしょ? 『これが僕たちの新しい歌だ、古いお歌は死んだんだ』ってね」    アルフレッド、おもちゃの拳銃を握り潰す。 ベイカー「いい加減にしないか!」    ベイカー、椅子を倒して立ち上がる。 アルフレッド「っ」    息を継いだタイミングでおもちゃの破片をバラバラと落とす。破片で切ったせいで血が滴る。    唖然とする店主と男A~D。 ベイカー「コンラッド・ベイカー大尉だ。これ以上諍いを起こす気ならば憲兵隊に通報する。嫌なら席に戻り、二度とおもちゃには手を出さんことだ」    男A~D、白けた様子で席に戻る。    他の客がベイカーを見ていたが、ベイカーが店内を見回すと、自分の卓に顔を戻していく。    ベイカー、アルフレッドに近づいて小声で、 ベイカー「すまない。観光客もいるんだ」    アルフレッド、無言で財布から紙幣を二枚抜き取り、カウンターに置く。    ベイカー、店の出入り口に向かうアルフレッドを沈痛な面持ちで見送る。 ○南リネージュ・街角・夜    アルフレッド、白い息を切るように早足で歩く。     
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