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「よくぞこれまで耐え抜きました、ミコト。」
スラリとしなやかな長身の人物が、穏やかな口調で言った。見るものを魅了するとも圧倒するとも言える美しい顔つき。携える銀髪は同様に美しく、緩やかなウェーブを帯びながら膝の丈よりも下まで伸びている。
「はい、神様。」
金髪の少女がそれに答える。ふわふわの癖毛はうなじが見えるほどに短く整えられており、あどけない顔立ちによく似合っていた。何よりも特徴的なのは、彼女の頭上には楕円の輪っかが金色に輝いているという事だ。
彼女は"見習い"天使ミコト。そして、その向かいに立つのは正真正銘、この世界を統べる神。
天界で厳しい修行に耐え抜いたミコトは"神の間"に呼ばれ、ついに神の側近たる天使として認められたのだ。
「これからも精進いたします。」
ぺこりと頭を下げ、ミコトが言う。綺麗な金髪がふわっと揺れた。
「よい心がけです。早速あなたに、天命を授けましょう。」
中性的で、耳をくすぐる様な声で神が言う。
「はい、何なりと。」
「まず、後ろを向いて7歩歩きなさい。」
「はい。」
てくてくてくてくてくてくてく。7歩。
ちょうど"神の間"の縁にたどり着く。
「次に、そこから飛び降りなさい。」
「は―――――――――ヘェアッ!?」
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