雇われるまでの一章

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大学生とは、気楽である。 そう確信したのは、大学生活が始まってから1週間のことだった。 普通の国公立大学。 そこに俺……日暮涼介(ひぐらしりょうすけ)は在籍し、一人暮らしという自由を謳歌し、そして、 「なんでぼっちになるんだよぉ?!」 ぼっちという現実に打ちひしがれていた。 いや、別に人との接触が嫌いなわけじゃないし、別段コミュ障という訳でもない。 しかし、いつの間にかなってしまったのはどうもしようがない、と俺は言い訳したい。 サークルだって興味があって、見学に回ったが、どれもあんまり楽しそうじゃなくて、だったらそれよりもバイト探そう、とか呑気な事考えていたら、ぼっちになった。 「あー、もうバイトにかけるしかないか?」 大学生は出会いの場はたくさんあると信じていたのに、こんなことになるなんて……。 俺はひとしきり集めたバイトの求人の資料を眺めながら、今後のことについて考えていく。 「一応割のいいバイトを探したいんだけどなぁ……」 と、そこでふと不思議なチラシを目にした。 【急募】一生役に立つスキルが身につきます。 どうやら内容をしっかり見ると、家事代行サービス……のようなものだった。 一応、一人暮らしのスキルは親が必要以上に身につけさせてきたから、簡単に出来るけど…… って時給高くない?! 最高で塾講師のものをみたが、それよりも数百円上。 しかも、初心者でもしっかりと教えてくれる…………。 いやほんと、こんなのによく応募したよと1ヶ月後の自分は思ったよ。
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