雇われるまでの一章

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俺は中に入り、促されるままに椅子に座る。 テーブルを挟んで向かいに相対したが、なんだか威圧感というか、凄みが強い人だなぁ、と思っていると、 「では」 どこから取り出したのか、壮麗の男性は、書類を取り出し、 「まずは面接ということで、基本的な質問から致します」 「はい」 そこからは、ほんとに基本的な面接で、事前にネットで調べて予習してきた内容でなんとかなった。 しかし、途中途中に、 「この世ならざるものを信じますか?」 「突然の出来事に対応できるタイプですか?」 「不思議な出来事に出会ったことはありますか?」 など、不思議な質問をされた。 俺はそれに対しても、普通に答えていく。 そして、あらかた質問が終わり、壮麗の男性は書類から目を離し、 「今の質問でだいたいわかりましたので、では、契約まで行っても構わないでしょうか?」 「え?はい?」 「いえ、ですので、今の段階で、あなたにはうちで働く素養があることが判明したので、採用させていただくことにしました」 「い、今ので大丈夫なんですか?」 「はい、大方は」 ニッコリと微笑んでくれたが、内心としては、あんまりホッとはしない。 でも、質問と言っても、不安なことはだいたいチラシに乗っていたし、この男の人だって、めちゃくちゃいい人そうだし……。 俺は結局、壮麗の男性の出した書類に、ある程度サインをしていく。 あまり多くない書類に目を通して、ある程度のサインが終わると、 「では、皇家で働く上で必要な、ご主人様へのお目通しを行います」 「お目通し?」 「はい、くれぐれも、粗相はないようにお願いします」 その言葉で、俺は気を引き締めながらも、不安を感じる。 こんな簡単にバイトに受かるものなのだろうか? 俺はその不安を解消出来ないまま、壮麗の男性についていく。
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