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 私は、朝と夜、コーヒーを入れることを日課としている。私が使うコーヒー豆は、特に珍しくもない市販のものである。フレーバーは、気分や好みによって変える。豆の挽き方は粗目が多い。ペーパードリップではなく、ネルドリップに拘る点は特徴的といえば、特徴的といえるかもしれない。  あらかじめお湯を入れて温めておいた二客のコーヒーカップに、出来たものを注ぐ。私の持っているコーヒーカップは特に有名なブランドものではないが、深い青に金糸を散りばめたようなデザインは、気に入っている。  一杯は、リビングのテーブルに置いておく。もう一杯は、もちろん私が飲む分である。ゆったりと飲むわけでもなく、一分ほどで飲み干す。この後に、朝なら、服を着替えにクローゼットが置いてある寝室にいったん引き返す。夜なら、シャワーを浴びる。  そしてリビングに戻ってくると、果たしてテーブルの上のコーヒーは綺麗に飲み干されているのであった。  私は、この2LDKの家に、半年前から一人で暮らしている。しかし、どうやら一人ではないらしい。
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