【What are people thinking】

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 仁科亜紗美(にしなあさみ)。年齢は桂井より一つ年下で会社では仁科が二年後輩にあたる。見た目、ごく普通のOLで特段目立つような美人さはないが、ややポッチャリ気味のスタイルから醸し出す二重の瞳の笑顔には愛嬌があり、異性からも同性からも好かれるようなおっとりとした所作と気さくな性格で、社内では真面目な社員の他にマスコット的な存在にもなっている。 そんな仁科亜紗美を桂井はずっと意識していた。仕事中、チラ見するのは当然のこと、用もなく資料のコピーを頼んだり、苦手なコーヒーを無理に汲んでもらったりしたり、何とか仁科とのコミュニケーションを図っていた。だが、二人きりで食事などはした事などはなく、勿論、そんな誘いも桂井はした事はない。せいぜい会社の飲み会で雑談できる程度の仲。普段の社内でも仕事を介した話しかした事がない。 一見すると桂井が女性との接し方が苦手な性格に覚えるがそうではない。実際に二ヶ月前まではカノジョがいて、さらにここ二ヶ月の間に三人の女性に告白している。ことごとく失恋に終わっているが。兎に角、女性との付き合い方のウマさを別にすれば、桂井は自分の方からガンガン攻めていく恋愛能動者。最近の青年が草食系男子と呼ばれている時勢にしては珍しく肉食系の感のある桂井健史。好きになった女にならすぐにでも誰にでも告白できるポテンシャルを持っているメンタル面の強さがこの男にはある。     
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