【What are people thinking】

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「ったく。普通こういう交渉って統括部長の仕事だろお。何で俺たち下っ端が対応しなきゃならないんだよ」 「部長も工藤さんにビビってるんでしょ。ウチらの会社って若い連中ばかりじゃないですか。威厳があってさらに大物オーラがある六十代ぐらいの上司なんていないじゃないですか。だからこういう年配の相手との商談事を互角に対応出来る人間が、どうにも不在で。若い会社ってのは活気はあるっていうメリットはあるけど、歴史ある老舗系の会社のようなハクがない分、ナメられるっていう弱みがありますからね。だいたいが自分の親ほど年齢が離れているオジさんが相手ですからね」 「何を冷静に分析しているんだよ、桂井ちゃん。これから俺らはその頑固なオジさんの典型みたいな人と対決しなきゃならんのだぞ。とは言っても付き合いは長いし、急な仕事とかも引き受けてくれたりするから、あんま関係は悪くしたくないからなあ。弱腰外交で対話しないと」  グダグダな不服を菅谷が叩いている内に、桂井たちはドアの開いていない小会議室の前に着いた。 「それでは後でお茶を持って参りますから」     
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