【What are people thinking】

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「見た目は何かの健康器具に見えるでしょう。今では携帯電話でも万歩計の機能やランニングなどして血圧を計れるアメニティが付いてますからね。その液晶画面に映る波線が、それのような類いのモノに思い浮かべてしまうのも無理ありませんが、そこは気にしないで下さい。画面に表示されている波線は本機の性能とは特に関係ありませんから。ただMRが正常に動いているかどうかを示している合図のようなものです。画面に波線が映らなくなっていたら、電池切れか故障したか、ぐらいの単純な認識をして下さい」 「この腕時計、というかリストバンドみたいのが読心できる機械、つまり、これを装着すればサトリの能力が身に……付くんですね」  興味津々とMRを見つめながら桂井はそれを腕に巻いてみた。特に左手首に巻き付けた所で自分の体に異変が起こった感はない。ただ、液晶画面の波線が暫く揺れだして、波長が間延びしたり緊縮したりして、やがて落ち着き一定の波線の変化に変わった。  田中は桂井が付けたMRの液晶画面を覗くと、 「セッティングが終わりましたね。あ、そうだった……私があらかじめMRを付けて置けば良かった。説明が足らなかったんですが実際にMRが機能するには装着してからだいたい八時間ぐらいかかるんですよ。本人のバイオリズムとシンクロするために。ま、アイドリング時間というか、体に慣れるまでの所要時間と言いますか。だから今すぐにはその性能が発揮できないんですよね。私が前々から付けていればこの場でお客様をサンプルにして実践できたんですが……うっかりしてました」 「使い方は?」     
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