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そんな深沢くんは、休み時間になるとよく本を読んでいる。
紺色のブックカバーがしてあり、どんな本を読んでいるのかは分からないけど、謎だらけの深沢くんが何を読んでいるのか、少し気になった私は椅子に座って膝の上に鞄を置いて授業の用意をしながら、ちらっと本の中身を盗み見る。
(えっ)
思わず声に出しそうになったのを慌てて手を口元に当てて隠す。だって、それくらい驚いたのだ。
あの深沢くんが、少女漫画を読んでいるなんて。
一瞬しか見えなかったからはっきりとは言えないけど、あの可愛らしい絵柄は少女漫画にしか見えなくて。
私も漫画は大好きだし、少女漫画が好きな男の子に偏見とかはないけど、どうしても深沢くんがそれを読んでいる姿は意外で、違和感が強かった。
けれど数日後、読んでいる本のブックカバーが違うことに気付いてまた何を読んでいるんだろうと盗み見たら、今度は何やら台詞の少なそうな難しそうな小説を読んでいた。純文学かな? 普段ラノベしか小説を読まない私はその難しそうな雰囲気に早々に目を逸らした。
掴みどころがない。私が深沢くんを苦手な一番の理由は、こういうところかもしれない。
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