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(――げ)
心の中でそう漏らしたのは、掃除の時間のとき。今週は私と深沢くんを含む四人が階段の掃除当番なんだけど、一人は先生に呼び出されて職員室。もう一人はインフルエンザで欠席。よって職員室に行ってる子が戻ってくるまではこの場には私と深沢くんの二人だけ。
普段だって会話がほぼないというのに二人きりだなんて、気まずさ倍増じゃんか。
「ふ、二人しかいないけど、頑張ろうね!」
「ああ、うん」
とりあえず掃除を始める前にそう声をかけたものの、やっぱり深沢くんの反応はこんな感じ。この気まずい空気の中に長くいたくなくて、さっさと掃除を終わらせてしまおうと一人意気込む。
上の段から順に箒をかけて、踊り場の床まで来たところで、深沢くんのことがふと気になって、隣で踊り場の窓掃除をしている深沢くんを見ると、深沢くんは真面目にやっているのかと思えば、窓に何やら指で落書きをしていて。
生活態度が真面目な深沢くんでも窓に落書きなんてするんだ、なんて思って何を書いたのかと視線をそのまま横にずらすと、一瞬頭が追いつかなくて固まる。
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